それはすなわち、それだけ建設工事が進められている場所が多いということを意味する。 私の記憶では、九五年頃まではそれほどでもなかった。

それ以降、あちこちで煉瓦造りの古いビルが壊され、建て直されるようになった。 そして、掘り起こされ、見苦しい板塀で囲まれていた場所に、驚くほどモダンなビルが姿を現すようになった。
その動きは二○○○年にかけて加速した。 無論、この動きはイギリスの皇扉気の回復と軌を一にしている。
建設ブームに伴って、シティの風景は急速に変貌を遂げた。 古い、由緒ある建物が徐々に減っていき、代わりに、ガラスで出来ていると見まがうビルや、鉄骨を巧みに組み合わせた斬新なデザインのビルが建ち並ぶようになった。
私の脳裏には、いまだに「シティは石と煉瓦の街」という強いイメージがあるのだが、ふと現変わりゆくシティとイギリス人広く国民全般の精神状態や幸福度などが、カラオケで唄う人々の態度にあらわれている気がする。 その意味では、日本のカラオケの現状はやはり、不健康で危機的な要素を含んでいる。
たかがカラオケ、されどカラオケである。 実の街の風景を見渡して、それは誤りであることに気づく。
いつの間にか、シティの、いやロンドンの、ニューョーク化あるいは東京化が進みつつあるのだ。 景気がよくなって、それだけの投下資本が市場にあるという証でもあるが、何よりも近年のIT(情報技術)の急速な発達が大きく影響しているように思う。
古いビルでは、社内外のPC端末を縦横に連結した情報ネットワークを構築しにくい。 どんな企業でも、情報への素早いアクセスは成功のための重要な条件であり、とくに国際金融資本にとっては、それは企業の存亡に関わるほどの意味がある。
八○年代から九○年代にかけて出遅れただけに、経済の回復を受けてこの国は今、一気に企業インフラの整備を進めているのである。 だが、私は、どうもそれではシティがシティでなくなるような寂しい気持ちになる。

オフィスビルばかりではない。 シティの街並みそのものが、猛烈な勢いで変貌している。
それは商店の変わりようにはっきりとうかがえる。 近年、シティに(そしてロンドン全体に)増えたものは、コーヒーショップのチェーン店と携帯電話の販売店である。
このふたつが雨後のたけのこのように出現した。 前者は、日本にも進出しているアメリカ資本の「Sバックス」とイギリスの「Cコーヒー」がしのぎを削っている。

会社設立ってなかなかですよ。欲しい会社設立が欲しい所に来た感じです。